2014年6月26日

6月9日院内集会報告(1)


参議院議員会館 B103会議室

  6月9日、「キビタキの会」は、参議院会館において原発事故避難者の安定的な居住を求めて、復興庁・国土交通省・内閣府との懇談会を開催しました。これは、3月19日の東京都との懇談会を踏まえ、原発事故と避難者の住宅政策に責任のある政府の担当省庁に、避難者の声を直接届け、抜本的な対策を要望することを目的としたものです。
 
 対応に当たったのは、
・復興庁:参事官補佐 中村崇志氏ら6名
・国土交通省:住宅局 住宅総合整備課 課長補佐 二瓶朋史ら2名
・内閣府:政策統括官(防災担当)付 参事官(被災者行政担当)付 大橋雅史氏
のあわせて、9名の若手官僚です。

 また、参議院議員全員にご案内を出し
・山本太郎氏(新党ひとりひとり)
・福島みずほ氏(社民党)
・増子輝彦氏の秘書の方(民主党・福島県選出)
・山口和之氏の秘書の方(みんなの党・福島県出身)
にご参加いただきました。

 東京都を中心に、避難者が10名参加し、その他支援者・メディア関係を含め、50名近い参加がありました。
 避難者の中には、社会福祉協議会からのお知らせでこの懇談会を知って勇気を奮い起こしてこられた女性もいらっしゃいました。井戸川前双葉町長も参加され、懇談を見守っておられました。

 マスコミは、朝日新聞・毎日新聞・東京新聞・福島民報社が取材に来られ、多数のインターネット系メディア・フリージャーナリストの方も熱心に耳を傾けていただきました。

 懇談会は、はじめにあらかじめ提出していた質問への回答を聞くことから始まり、避難者がそれぞれの事情や困難を訴え国の対応をたずねるという形で進められました。

*質問項目は、以下の通りです。
《2014年 6月9日復興庁・内閣府との懇談会 質問項目》ーー始まりーー

1.現状

①原発事故によって東京都に避難してきた住民は、何世帯何人か?
  全国では何人何世帯か?
②現在の、避難者の置かれている状況をどう認識しているか?
  避難者のニーズの調査及び避難者への政府の取り組みの広報はどのように行われているか。
③住宅にかかわる問題で、原発事故避難者から、2011年3月11日の事故以来、どのような要望が何件出されているか。
④福島県とは、安定的な居住の確保に関してどのように情報交換や協議をしているか。


2.現在の制度に関して

 現在の災害救助法に基づく応急仮設住宅の供与に関しては、5月28日に1年延長が決定し、2016年3月末までとされたが、その後の住宅の供与はどう考えているのか。
 最終的な判断の責任者は誰か。
 その決定に避難している住民の声や被災自治体の意見はどのように反映されるのか。
 現在の制度では、一人当たりの住居の広さはどのようになっているか。例えば、いわき市から武蔵野市へ大人3人子ども1人で避難してきた世帯は、住宅が1LDK程度の広さのため、家族のうち73歳の女性が1年後に避難元へ帰らざるを得ない事態となったが、災害公営住宅への申し込みも外れ、今後の生活に不安を感じている
 明らかに安心できる住宅を確保しているとは言いがたいが、こうした例をどう考えるか。
 現在のような1年延長を繰り返すことは、住宅という生活の基盤が不安定な状況が続き、将来の見通しも立てられないことであるが、これをどう考えるか。


3.子ども被災者支援法の基本方針に基づく対応

「子ども被災者支援法」では、基本方針の中に、「(8)住宅の確保の主な具体的取り組みの中に、(2015年)4月以降については、代替的な住宅の確保等の状況を踏まえて適切に対応。」とあるが、これをどう実施するのか。
強制避難であるか自主避難であるかを問わず、また、現在の避難先がどこであれ、原発事故という人災による避難者が、長期にわたって安心して住み続けることのできる無償の住宅を確保することを基本方針の中に書きこむ見直しをしていただきたいがどうか?


4.新たな立法措置の可能性

(上記の基本方針の見直しができない場合)すべての原発事故避難者に対し安心して住み続けることができる住宅の提供は政府の責任であることを明記し、住宅を必要とする避難者には長期にわたる無償の住宅の提供を行う新たな法律をつくる必要性についてどう考えているか。

《2014年 6月9日復興庁・内閣府との懇談会 質問項目》ーー終わりーー



 しかし、南相馬市から知人宅に避難している女性が「都営住宅を申し込んだら、一般都民と同じ扱い。この先どうしたらいいのか。」と声を震わせて訴えても、生活保護などを利用してほしいなど、誠意のない官僚的な答えが続きました。避難先の住宅の狭さ、強制避難区域からわずか離れた地域からの自主避難者への補償の少なさ、復興住宅を福島に建て他の自治体には建てないことへの疑問など、多くの未解決の課題が浮き彫りになりました。
 
 残念ながら、担当省庁との懇談は具体的な前進はありませんでしたが、避難者当事者が、あまり報道されることのない事実を率直に訴え、さらに、新たな立法措置も要望したことの意義は大きく、避難者の住宅確保をめぐる世論を広げていく力になったと思います。

 以下、当日の懇談会の模様を速記録でご報告します。
>>>【政府側から質問の答え】 6月9日院内集会報告(2) <<<